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革の染色について


今回は、革の「染色」についての話です。
かなりざっくり言えば、「顔料」か「染料」かに分かれます。
つまり「塗る」か「染める」かの違いです。

「革」というものは時を遡れば「生き物」だった過去があります。いくら牧場に居る牛や馬でも鉄柵やいばらなどに体当たりなどして生傷が絶えません。

その傷もしばらくすると治りますが、傷跡は残ってしまいます。それは「革」になっても残っているのです。
傷跡は残っていても治っているので、耐久性等全く問題はありません。ですので、言ってみれば「模様」みたいなものなのです。(前の職場では「生き傷」と呼んでいました。)

しかし!

上記のような事を知らない、あるいは知っていても「傷跡」は嫌だというお客様は、製品にそのような「生き傷」がついていた場合

「傷が付いている!返品だ!」

となってしまいます。

メーカーとしてはそのようなことは避けたいので、できるだけ「生き傷」や「シミ」などが無い革を使いたい、となります。

そこで重宝するのが「顔料系」の革です。革の表面を顔料で覆っているので、本来あった傷やシミなどが見えなくなり、非常に「キレイ」な革なのであります。

ただ、所謂「厚化粧」を施してあるので、「革っぽさ」が損なわれてしまいます。


では「染料系」の革はどういうものかというと、染料で染めているので「生き傷」や「シミ」などがほぼそのまま残ってしまっています。

ハンドメイドの革製品【Shin】のブログ-傷
斜めに走っているのが「生き傷」。

特に、薄い色の革はこのような傷やシミが目立ちやすく、1枚革を仕入れて広げてみると、
「これほとんど使えるとこ無いじゃん…。」

てことがたまにあります。

つまり革の「裁断効率」が悪く、コストがかかる革なのです。
それでも「染料系」の革を使いたいという人たちは多いのです。

それは何故か?…それを補って余りある「魅力」があるからです。

まず、薄化粧なので「革っぽい」。
そして染料を通して革の表情が見えるので、艶に「透明感」がある。
等々…。

「顔料系」と「染料系」のどちらが上だってことではないのですが、「適材適所」なのでしょう。
例えば大量生産で品質にバラツキがあったら困る場合なんかは「顔料系」、逆にハンドメイドで「革なので、全く同じ物は無いのですよ」的なところには「染料」で「タンニン鞣し」の革が良く使われます。


ちなみに、【Shin】で主に使っている「マレンマ」などは「染料」で染めた革であります。
イタリアで小規模でやっているタンナー(革を鞣しているところ)が伝統製法で鞣しています。傷は多いわ仕入れ時期によって色ぶれ(微妙に色の濃淡の差が)はあるわで正直「やっかい」な革なのですが、「魅力的」な革なので使っています。

【Shin】では「顔料」の革も使っていて、「ディアスキンハンティング」などは顔料の革です。いい感じのシボ(細かい皺)があり、そのシボが革っぽさを表現していてなかなか魅力的な革です。


最後に、

革にある「生き傷」だったり「トラ目」(大きく入った皺)などは言ってみれば「個性的」なので、私なんかもそうですが、逆にそれが良いという人もいます。
ただ、特に通販の場合は「クレーム」になる場合を考えて極力そういう傷などは避けて作ります。(目立たないところに使ったりはしますが)
ですが、それでも多少は入ってしまうのでそこはご了承いただけるとありがたいです。

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